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甕棺墓と東三河(3)

 投稿者:maeda  投稿日:2016年10月27日(木)21時35分29秒
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  4.麻生田遺物整理の方法及び出土遺物の概要
 本遺跡から出土した遺物には様々なものがあるが、1期の縄文中期後半から晩期前半の土器に続き、2期に土器棺132基、その他凸帯文系及び条痕文系土器片多量、少量の遠賀川系土器などが出土している。
尚、地理的環境として、豊川市は、愛知県の東部を流れる豊川の下流域にあり、豊橋市や、宝飯郡一宮町・同小坂井町・同御津町、同音羽町などと接している。歴史的環境は、麻生田大橋遺跡のある豊川下流域の地域は、愛知県下でも縄文晩期の遺跡が集中して分布する地域として古くより注目されており、標式遺跡も数多く存在する。麻生田大橋遺跡の南南東約4kmの豊川左岸に位置する白石遺跡では、近年の調査で遠賀川系土器を伴う環濠の可能性の高い溝が検出され注目をあびている。
本遺跡から検出された土器棺墓は、この133基以外に(財)愛知県埋蔵文化財センターの調査による102基と、木下克己氏らによる調査の2基があり、それらを合わせれば237基となる。遺跡の未調査区もまだ残されており、本遺跡に埋設された土器棺墓の実数は優に300基を上回るものと推察されている。

5.日本の各地域の土器棺の出土地とその意義
1)九州地域  2000基以上
(1)玄界灘沿岸:西北九州、唐津西沿岸地域と島嶼部,唐津、糸島、早良、福岡・春日。
(2)有明海沿岸:神埼、佐賀、旧小城、武雄、島原、熊本、筑後南部 旧八女など。
(3)内陸部:嘉穂,二日市、朝倉、三輪町,甘木市,小郡・鳥栖、久留米など。
(4)その他:長崎県大村市、大分県日田市、薩摩半島西海岸地城など。
2)兵庫県篠山市下板井内場山弥生墳丘墓群
弥生墳丘墓のほか、木棺墓、土器棺墓、土壙墓で構成される墳墓群である。副葬品には全長93.5センチの長大な素環頭大刀がある。
3)丹後地域:京都府与謝郡加悦町字加悦 吾野山遺跡
 加悦町字加悦遺跡の土器棺 大型壺型土器(長径0.8m、短径0.5m)と中型壺型土器を合口にして置かれていた。丹後地域では、北西尾根地区に土器棺墓が検出されている。
4)滋賀県今津町の北仰西海道遺跡
  土器棺90基、土壙墓110基以上の縄文時代晩期の集団墓が発掘されている。(今津町教育委員会 1987「今津町文化財調査報告書」第7集)
5)大阪府讃良郡条里遺跡(四條畷市)(羽曳野市)
大阪府文化財センターによる第二京阪道路建設に伴う発掘調査で土器棺出土。従来縄文時代晩期後半から弥生時代早期の遺跡である。
6)奈良県 橿原市曲川町の「曲川遺跡」(奈良新聞(2003年5月9日)記事)
橿原市曲川町の「曲川遺跡」で、大規模な土器棺墓群を伴う縄文時代晩期中頃から後半(2500~2200年前)の拠点集落が見つかり、縄文時代の土器棺墓群としては全国的にも屈指の規模である。土器棺は直径30~40cm、高さ30~60cmの深鉢で、72基がまとまって出土。過去の調査を合わせると81基に上り、遺跡全体で100基を越えると見られる。縄文時代の土器棺墓としては、麻生田大橋遺跡(愛知県豊川)の170基、北仰西海道遺跡(滋賀県今津町)の96基に次ぐ規模となる。
7)青森県三戸郡倉石村 薬師前遺跡 墓坑出土
 昭和52年5月、当時三戸郡倉石村にあるこの遺跡で、土器棺の一部と上部の配石を発見、倉石村教育委員会による緊急調査の結果、3基の土器棺が埋設されているのが確認され、1基からは、貝輪を尺骨に装着した保存状態の良い縄文人骨が納められていた。
 
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